「避妊・去勢手術をすると太る」
愛犬家の間では定説のように言われていますが、実は手術そのものが太る原因ではありません。
本当の原因は、「代謝が落ちているのに、手術前と同じ量のフードを与え続けていること」にあります。術後はワンちゃんの体が大きく変化するタイミング。今回は「数字で管理する術後の食事プラン」について解説します。
なぜ術後は太りやすくなるのか?
手術によって生殖機能を取り除くと、ホルモンバランスが変化します。これに伴い、基礎代謝(何もしなくても消費するエネルギー)が低下する傾向があります。
獣医学的な指標(係数)で見ると、その差は歴然です。
| 犬の状態 | 活動係数 | 変化 |
|---|---|---|
| 避妊・去勢していない成犬 | 1.6〜1.8 | 基準 |
| 避妊・去勢済みの成犬 | 1.2〜1.4 | 約20〜30%減 |
つまり、手術をしただけで必要なカロリー量は今までより20%〜30%ほど少なくなる計算になります。食欲が増したからといって今まで通りあげれば、当然カロリーオーバーになります。
パッケージの「給与目安量」を信じてはいけない理由
ドッグフードのパッケージ裏に書かれている「体重別・給与量」の表は、あくまで「標準的な活動量の未去勢・未避妊の成犬」を基準に、少し安全率(多め)をとって書かれていることが多いのです。
「去勢後の犬」専用の列が用意されているフードは稀です。パッケージ通りに与えていると、知らず知らずのうちに毎日20%のカロリー過剰摂取を続けてしまうことになりかねません。
術後の適正量を計算する「黄金の計算式」
正確な量は、以下のステップで算出する必要があります。
- RER(安静時エネルギー要求量)を計算する:(体重kg)^0.75 × 70
- DER(1日あたりのエネルギー要求量)を算出する:RER × 1.2〜1.4(術後係数)
- フードの量(g)に換算する:DER ÷ (フードの100gあたりkcal ÷ 100)
電卓では「体重の0.75乗」が計算しにくいため、自動計算ツールの利用がおすすめです。
術後すぐにやること:3ステップ
Step 1:今の体重を正確に測る
術後は体重が変動しやすいので、退院後すぐに測っておきましょう。
Step 2:「術後モード」で新しい給餌量を計算する
DogCalの計算機では、去勢・避妊済みの設定を選ぶだけで、術後係数が自動で適用されます。
Step 3:2〜4週ごとに体重をチェックして調整する
術後の数ヶ月は体が変化しやすい。月1回のペースで体重と体型(BCS)を確認して微調整しましょう。
術後のワンちゃんは食欲が増すことも多く、ついついオヤツやフードをあげたくなるかもしれません。しかし、肥満は関節トラブルや病気のもと。心を鬼にするのではなく、「ロジカルに数字を守る」ことが、愛犬と長く一緒に過ごすための最大の愛情です。







